色をいじる
わたしが写真について後回しにしていたのが色だった。被写体をみつけ、構図をさがし、露出をあわせる。色を考える余裕はない。一方で、わたしが好みに感じる写真の多くは、どうやら色味によって演出されているようだ。これに気づいたのは、この2,3年ほどだろうか。James Popsysという写真家がいる。いまでは彼が撮るような、色と風景が調和した写真を、わたしも撮ってみたいと思う。
自分で色をいじるなんて、色彩感覚の優れた人のすることだ、以前のわたしにはそう捉えている節があった。それくらい難しいものだと思っていた。富士フイルムの色が、キヤノンの色が、といったメーカー固有の色の話でさえ、わかるようになったのは自分で写真を撮るようになって数年が経ってからだ。わたしがするのはカメラのプリセットをなんとなく選び、色温度を自分にとって自然に見えるよう調整する、せいぜいこんなもの。だから、わたしにとっての写真の色は、ある程度はカメラで決まり、あとはだいぶ運に任せたものになっていた。
意識が変わったのは、James Popsysのとある動画を見てからだった。その動画では、ライカ、ソニー、富士フイルムのカメラで撮影された写真の色を、互いのカメラで撮影された写真のそれにあわせていくようすを見ることができる。彼の主張はこうだ。「メーカーごとのカラーサイエンスは神話である。RAWで撮る限りにおいては」。理屈ではわかっていたが、上手く色を整えていくようすを実際に見たのは、はじめてだった。使われていたのが馴染みのあるLightroomだったのも理解を助けた。それからは、避けていたカラーミキサーを触ってみるようになった。カラーグレーディングには、まだ到達できていない。
この動画の趣旨は、色はカメラを選ぶ理由にならないということだった。しかしわたしがこの動画から受け取ったのは、後編集で好みの色を狙うことが可能なこと、写真を色で演出できるということ、加えて、それに取り組む意欲だった。受け取り方は、多様である。
しばらく写真は、どんな色が出せるのか、どんな色が好みなのか、その色はどうやったら出てくれるのか、このあたりをさがしてみる。